- 中山競馬場 芝1800mがどんなコースか解説
- 過去5年間(2019年1月1日~2023年12月31日)178レースのデータから傾向を紹介
- 中山競馬場 芝1800mの攻略法を公開!買うべき馬・消すべき馬を徹底分析
中山競馬場 芝1800mの概要・特徴
3歳クラシックを目指す上で重要となるGⅢフラワーカップ、GⅡスプリングステークスや、古馬GⅡ中山記念が行われる中山競馬場 芝1800m。他のJRA主要競馬場(東京、阪神、京都)の芝1800mとは大きく形状が異なるので、求められる能力も違います。中山競馬場 芝1800mはどんなコースなのか。詳しく解説します。
コース概要
中山競馬場 芝1800mはローカル競馬場並みの小回りとなる内回りコースを使用します。スタンド前にある中山名物、急坂の途中がスタート地点。スタートから1コーナーまでの距離が約205mと短く、逃げ、先行馬はスタートが鈍いとリカバリーが難しい仕様。スタートから1コーナー中間まで上り坂が続き、2コーナー入口付近から3コーナー手前にかけては一気に坂を下るアップダウンの激しいコース。4コーナーを回り、直線残り180m地点から残り70m地点にかけては高低差2.2mの急坂が設けられています。
小回りでコーナー4つ、そして急坂2回。瞬発力よりも持続力が必要で、坂を苦にしないスタミナとコーナーを回る器用さが求められるコースです。阪神競馬場 芝1800mは同じ距離で右回り、坂ありと似たような設定ですが、コーナー2つのワンターンコース。求められる適性は異なるので注意が必要です。
レコードタイム
中山競馬場 芝1800m | タイム | 性齢 | 馬名 | 記録年月日 |
---|---|---|---|---|
2歳 | 1:46.4 | 牡2 | ミヤジタイガ | 2012年9月8日 |
3歳以上 | 1:44.9 | 牡4 | サクラプレジデント | 2004年2月29日 |
3歳以上 | 1:44.9 | 牡5 | ヒシイグアス | 2021年2月28日 |
2歳レコードは2012年9月8日にアスター賞でミヤジタイガが記録した1分46秒4。当日は4ヶ月半ぶりの中山開催で良馬場ということもあり、かなりの高速馬場でした。ミヤジタイガは3番手から、早いペースで逃げ粘る2着馬を直線でかわし1着でゴール。馬場条件も手伝ってレコード決着となりました。
3歳以上のレコードは、サクラプレジデントが2004年2月29日に、ヒシイグアスが2021年2月28日に記録した1分44秒9で、どちらも中山記念で出したタイムです。両馬ともに前半から緩みないペースで流れるなか、中団で脚を溜め、勝負どころで一気に差し切ってレコード勝ちを収めました。
平均勝ちタイムとラップタイム
中山競馬場 芝1800mにおける、平均勝ちタイムとラップタイムは以下のとおりです。
クラス | R数 | 平均勝ちタイム | 前3F | 後3F | 後/前 |
---|---|---|---|---|---|
2歳新馬 | 20 | 1:51.6 | 38.4 | 35.3 | 92 |
2歳未勝利 | 24 | 1:49.5 | 37.0 | 35.6 | 96 |
3歳未勝利 | 19 | 1:50.2 | 37.2 | 36.1 | 97 |
3歳1勝 | 21 | 1:49.7 | 37.5 | 35.3 | 94 |
3歳OP・重賞 | 10 | 1:49.3 | 36.7 | 36.0 | 98 |
1勝 | 15 | 1:47.8 | 36.1 | 35.4 | 98 |
2勝 | 37 | 1:48.9 | 37.1 | 35.4 | 95 |
3勝 | 17 | 1:48.7 | 36.9 | 35.8 | 97 |
OP・重賞 | 15 | 1:47.7 | 36.4 | 36.1 | 99 |
コースはスタートが坂、しかも1コーナーまでの距離が短いとあり、前半のペースは落ち着きやすいのが特徴。クラスが上がるにつれて、一瞬の切れ味が求められる傾向にあります。
中山競馬場 芝1800mで行われる重賞レース一覧
中山競馬場 芝1800mで行われる重賞レースは以下のとおりです。
レース名(グレード) | 1着賞金 | 開催時期 |
---|---|---|
フラワーカップ(GⅢ) | 3800万円 | 3月3週目 |
スプリングステークス(GⅡ) | 5400万円 | 3月3週目 |
中山記念(GⅡ) | 6700万円 | 2月4週目 |
中山牝馬ステークス(GⅢ) | 3800万円 | 3月2週目 |
桜花賞の前哨戦として位置づけられるフラワーカップ、皐月賞へのステップレースであるスプリングステークスが当コースで開催。牡牝ともにクラシックに駒を進めるための重要なレースです。古馬重賞は中山記念と中山牝馬ステークス。中山記念は春の古馬中距離ナンバーワンを決める戦いで、GI大阪杯への重要なステップレースという位置付けです。2020年には中山記念で2着に好走したラッキーライラックが、次走の大阪杯で見事優勝しました。
中山競馬場 芝1800mの傾向データ(2019年〜2023年の過去5年)
ここからは中山競馬場 芝1800mにおける過去5年間(2019年1月1日〜2023年12月31日)178レースの傾向データを紹介します。さまざまな角度からこちらのコースの特徴を分析していくので、馬券予想の参考にしてください。
人気別
人気 | 勝率 | 連対 | 複勝 | 単回 | 複回 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 29.8 | 51.1 | 65.2 | 66 | 83 |
2 | 19.1 | 37.6 | 53.4 | 84 | 84 |
3 | 21.3 | 36.0 | 47.2 | 126 | 89 |
4 | 5.6 | 19.1 | 33.7 | 41 | 78 |
5 | 6.2 | 18.5 | 27.0 | 61 | 77 |
6 | 7.9 | 11.2 | 23.6 | 120 | 77 |
7 | 4.0 | 10.2 | 18.1 | 82 | 85 |
8 | 1.7 | 5.7 | 11.9 | 36 | 60 |
9 | 0.0 | 2.3 | 7.0 | 0 | 47 |
10 | 1.0 | 1.9 | 3.1 | 57 | 32 |
人気別の傾向を見てみると、4番人気から勝率がガクンと落ちているのが目立ちます。そのことから、軸馬は1番人気〜3番人気の中から選ぶのが無難でしょう。とりわけ面白いのは、6番人気の回収値が優秀な点です。馬券に入れておけば、高配当を演出してくれるかもしれません。
枠順別
枠 | 勝率 | 連対 | 複勝 | 単回 | 複回 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 8.4 | 18.8 | 25.5 | 64 | 65 |
2 | 8.7 | 13.4 | 20.5 | 56 | 47 |
3 | 6.1 | 13.9 | 25.4 | 57 | 84 |
4 | 8.2 | 15.4 | 23.2 | 45 | 64 |
5 | 7.5 | 15.7 | 20.7 | 46 | 57 |
6 | 6.6 | 13.9 | 22.1 | 38 | 48 |
7 | 7.2 | 15.3 | 23.1 | 63 | 57 |
8 | 7.8 | 14.4 | 20.7 | 139 | 70 |
小回りでコーナー4つ、スタートしてすぐ1コーナーという仕様で内枠が有利だと思われがちですが、傾向から枠順による有利不利は無いということがわかります。外枠だからという理由で、安易に馬券から外してしまわないよう注意しましょう。
脚質別
脚質 | 1着 | 勝率 | 連対 | 複勝 | 単回 | 複回 |
---|---|---|---|---|---|---|
逃げ | 34 | 18.8 | 32.0 | 40.9 | 211 | 114 |
先行 | 86 | 13.4 | 27.2 | 39.9 | 94 | 96 |
差し | 48 | 6.0 | 12.8 | 20.7 | 54 | 65 |
追込 | 8 | 1.1 | 2.1 | 4.1 | 14 | 12 |
捲り | 2 | 7.1 | 17.9 | 28.6 | 81 | 75 |
先行馬が圧倒的に有利。直線が短い中山競馬場らしい傾向と言えます。また、逃げ馬の単勝、複勝回収値が非常に優秀。人気薄でもたびたび馬券になっているということは覚えておきましょう。
血統別
血統 | 1着 | 勝率 | 連対 | 複勝 | 単回 | 複回 |
---|---|---|---|---|---|---|
ディープインパクト | 21 | 14.6 | 25.0 | 35.4 | 62 | 88 |
ドゥラメンテ | 15 | 18.8 | 26.3 | 33.8 | 130 | 87 |
ロードカナロア | 12 | 13.3 | 31.1 | 36.7 | 57 | 643 |
ハーツクライ | 12 | 11.2 | 19.6 | 26.2 | 66 | 67 |
ルーラーシップ | 9 | 7.8 | 20.7 | 32.8 | 33 | 85 |
エピファネイア | 8 | 7.9 | 14.9 | 22.8 | 110 | 69 |
キズナ | 6 | 9.1 | 22.7 | 33.3 | 179 | 115 |
ハービンジャー | 6 | 6.4 | 13.8 | 26.6 | 61 | 67 |
ヴィクトワールピサ | 6 | 11.1 | 18.5 | 25.9 | 171 | 89 |
スクリーンヒーロー | 6 | 9.5 | 12.7 | 22.2 | 88 | 70 |
超大物種牡馬ディープインパクトがリード。中山記念を制した実績を持つドゥラメンテの産駒も好走しています。この2頭がすでにこの世を去っていますが、残っている産駒を見かけたら積極的に狙っていいでしょう。
そして注目はキズナの回収率の高さ。ディープインパクトの後継種牡馬でもあるので、今後は期待できそうな予感があります。
父系統別
父系統 | 勝率 | 連対 | 複勝 | 単回 | 複回 |
---|---|---|---|---|---|
ネイティヴダンサー系 | 8.3 | 19.5 | 27.8 | 93 | 56 |
ロイヤルチャージャー系 | 7.6 | 14.8 | 22.2 | 69 | 59 |
ニアークティック系 | 6.8 | 12.0 | 19.2 | 104 | 60 |
ナスルーラ系 | 0.0 | 1.3 | 6.6 | 0 | 61 |
ドゥラメンテ、ロードカナロア、ルーラーシップ擁するネイティヴダンサー系が良績を残しています。回収率ではニアークティック系が健闘。一方、ナスルーラ系はかなり苦戦を強いられています。
騎手別
騎手名 | 1着 | 勝率 | 連対 | 複勝 | 単回 | 複回 |
---|---|---|---|---|---|---|
戸崎圭太 | 16 | 17.6 | 23.1 | 34.1 | 65 | 60 |
C.ルメール | 13 | 23.2 | 42.9 | 46.4 | 67 | 64 |
三浦皇成 | 12 | 11.9 | 22.8 | 34.7 | 57 | 75 |
横山武史 | 10 | 13.3 | 29.3 | 49.3 | 60 | 90 |
M.デムーロ | 9 | 14.3 | 23.8 | 39.7 | 49 | 74 |
北村宏司 | 6 | 8.1 | 20.3 | 29.7 | 52 | 87 |
丸山元気 | 6 | 11.3 | 15.1 | 24.5 | 88 | 53 |
柴田大知 | 5 | 5.9 | 14.1 | 18.8 | 77 | 75 |
石川裕紀人 | 5 | 7.5 | 17.9 | 23.9 | 84 | 87 |
津村明秀 | 5 | 5.9 | 12.9 | 18.8 | 30 | 49 |
戸崎圭太、ルメール、三浦皇成騎手など関東の上位ジョッキーは順当に好走傾向。ただ、トップクラスの中では田辺裕信騎手の成績が悪いのが気になります。表には入ってませんが4勝で勝率は4.3%。こちらのコースを苦手としているのかもしれません。
また、川田将雅騎手は関西所属で騎乗数が少ないものの勝率は29.4%。単勝回収率も138%と高いので、遠征してきた時は必ずチェックしましょう。
調教師別
調教師名 | 1着 | 勝率 | 連対 | 複勝 | 単回 | 複回 |
---|---|---|---|---|---|---|
国枝栄 | 12 | 21.1 | 35.1 | 43.9 | 94 | 98 |
堀宣行 | 10 | 22.2 | 35.6 | 48.9 | 70 | 106 |
鹿戸雄一 | 8 | 11.9 | 17.9 | 31.3 | 80 | 58 |
尾関知人 | 8 | 19.0 | 26.2 | 35.7 | 60 | 81 |
伊藤大士 | 6 | 10.7 | 10.7 | 23.2 | 110 | 62 |
池上昌和 | 4 | 10.8 | 32.4 | 43.2 | 50 | 111 |
田中博康 | 4 | 11.1 | 30.6 | 36.1 | 68 | 80 |
斎藤誠 | 4 | 10.5 | 21.1 | 31.6 | 117 | 100 |
畠山吉宏 | 4 | 12.5 | 25.0 | 31.3 | 152 | 101 |
上原博之 | 4 | 9.1 | 18.2 | 20.5 | 82 | 55 |
数多くの活躍馬を送り出している国枝栄、堀宣行調教師は成績はもちろん、回収率も高め。素直に狙いをつけていいでしょう。斎藤誠、畠山吉宏調教師の回収率も目立ちます。
東西別
所属トレセン | 勝率 | 連対 | 複勝 | 単回 | 複回 |
---|---|---|---|---|---|
美浦 | 7.3 | 14.5 | 21.7 | 62 | 58 |
栗東 | 9.1 | 18.4 | 28.4 | 83 | 83 |
栗東所属の厩舎が各数値で美浦所属に差をつけています。関東の厩舎が地の利を生かして好走できるわけではないようです。
中山競馬場 芝1800mの傾向・データまとめ
ここまで8つのデータを使って、中山競馬場 芝1800mの傾向を紹介してきました。
特に重要なポイントは以下のとおりです。
- 1~3番人気がしっかり馬券になっている
- 枠順による有利不利はない
- 先行馬が圧倒的な成績
- 逃げ馬は回収率が超優秀
- ディープインパクト産駒に良績多し。後継のキズナも注目
- 田辺騎手は人気でも疑ったほうが良い
- 国枝、堀厩舎など関東の名門は高い確率で馬券になる
中山競馬場 芝1800mの攻略方法
ここからは中山競馬場 芝1800mの傾向データを深掘りし、買うべき馬・消すべき馬を紹介していきます。
馬券を検討する際の参考にしてください。
データから見るここが買い
- 1~3番人気の逃げ、先行馬を探そう
- 8枠は単勝回収率に妙味あり
1~3番人気の逃げ・先行馬を探そう
脚質からは先行馬の成績が良く、逃げ馬は回収率が優秀であることは前述しました。そして、人気別では1〜3番人気の馬が好走しやすい傾向。この2点から、中山競馬場 芝1800mにおいては「1〜3番人気の逃げ、先行馬」は、軸馬に最適と言えます。
8枠は単勝オッズに妙味あり
枠順別では8枠の単勝回収率が139%とかなり高めです。
中山競馬場芝1800mは小回り、コーナー4つ、スタートしてすぐ1コーナーといったコース設定。大外枠はロスがありそうなイメージがあり、実力馬でも軽視されているのかもしれません。当コースではオッズに左右されることなく、実力馬を見極める必要があります。
データから見るここが割引
田辺裕信騎手と言えば有力馬の騎乗が多く人気ジョッキーの一人。ただ当コースでは騎乗数の割に勝ち星が少なく、回収率も物足りない結果です。苦手とまではいかなくても相性の良し悪しはありそう。人気馬に田辺騎手が騎乗している時は、疑ってかかってもいいかもしれません。
データの裏を狙う
中山競馬場芝1800m過去5年間で抜群の成績を残している戸崎圭太騎手ですが、重賞に限定してみると【0-0-0-10】。なんと1度も馬券圏入りがありませんでした。騎乗馬の平均人気は5.2とまずまず恵まれている方ではありますが結果が出ていません。トップジョッキーなので相性の問題かと思いますが、当コースでは平場、特別の戸崎騎手と重賞の戸崎騎手は別と考えた方がいいのかもしれません。
当コースの重賞で結果を残しているのは松岡正海、松山弘平騎手の2人でそれぞれ2勝をマークしています。戸崎騎手の重賞での相性の悪さと合わせて、こちらも覚えておいてください。
開催時期や馬場状態によって狙える穴馬・危険な人気馬
ここからは、中山競馬場 芝1800mでは開催時期や馬場状態でどのように傾向が変わるのか、それによってどんな馬を狙うべきでどんな馬を消すべきなのかを解説します
9月開催は高速馬場が得意な穴馬に注目
中山競馬場の芝コースは、通年オーバーシードが敷かれていますが、夏競馬終了後の9月開催は野芝メインで開催されます。まず、オーバーシードとはどのようなものなのか。説明をごらんください。
オーバーシードとは?
野芝の間から洋芝を生えさせる芝の管理法。
野芝は冬に枯れてしまうので、冬開催は寒さに強く成長の早い洋芝と混合します。
札幌競馬場、函館競馬場は100%洋芝が敷かれており、一般的に洋芝は野芝に比べ、クッション性が高く柔らかいので、走るのにパワーを要するとされています。
このことから9月開催の中山競馬場で、馬券検討に役立つと思われる要素は次の通りです。
- 持ちタイムは速いが、洋芝メインの北海道開催で好走できなかった馬
- 100%野芝の新潟開催で好走が目立つ馬
以上の2つを頭に入れておけば、思わぬ高配当を手にすることができるかもしれません。
中山競馬場 芝1800mまとめ
今回は、中山競馬場 芝1800mについて特徴を解説し、8つの傾向データから好走馬を見つけるヒントを探りました。
- 1~3番人気を馬券の中心として考えよう
- 枠順による有利不利はないが、8枠は単勝に妙味あり!
- 先行馬が圧倒的な成績
- 逃げ馬は回収率が超優秀
- ディープインパクト産駒に良績多し。後継のキズナも注目
- 戸崎騎手が勝ち星量産。ただ重賞に限って割り引き
- 田辺騎手は人気でも疑ったほうが良い
- 国枝、堀厩舎など関東の名門は高い確率で馬券になる
- 9月開催は高速馬場が得意な馬に注目
この記事を、馬券検討の参考にしていただければ幸いです!
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