- 函館競馬場芝1200mがどんなコースか解説
- 過去5年間(2018年1月1日~2022年12月31日)213レースのデータから傾向を紹介
- 函館競馬場芝1200mの攻略法を公開!買うべき馬・消すべき馬を徹底分析
函館競馬場芝1200mの概要・特徴
同じ北海道の札幌競馬場と比較されることが多い函館競馬場。コンパクトである点は確かに似ていますが、平坦な札幌競馬場に比べこちらは起伏に富んだコース設定であり、似て非なるコースです。まずは函館競馬場の芝1200mがどんなコースなのか解説します。
コース概要
スタート地点は2コーナー奥のポケット地点。スタートから4コーナー手前まで、緩やかな上りが続きます。スタートから3コーナーまでの距離は約490mと長め。3・4コーナーはスパイラルカーブが採用されています。4コーナー途中からゴールまでは緩やかな下りで、直線は約262mとJRAの全10場で最も短い設定です。そして非常に重要となるのは、100%洋芝であること。洋芝は野芝と比べて力を要するため、スピードだけでなくタフさと洋芝適性も求められます。
スパイラルカーブとは
スパイラルカーブが採用されている競馬場は、3・4コーナーのカーブが特殊な形状になっていて、入口となる3コーナーが大回りなのに対し、出口となる4コーナーは小回りになっています。コンパクトなローカル競馬場に多く採用されていて、狙いはスピードを落とさずに3コーナーを回った馬群を4コーナーでばらけさせること。それにより、直線が短いコースであっても、先行脚質有利をある程度緩和し、どの位置からでもチャンスが生まれるよう設計されています。
レコードタイム
函館競馬場芝1200m | タイム | 性齢 | 馬名 | 記録年月日 |
---|---|---|---|---|
2歳 | 1:08.7 | 牝2 | モンファボリ | 2020年6月20日 |
3歳以上 | 1:06.8 | 牝3 | ジューヌエコール | 2017年6月18日 |
函館競馬場芝1200mの2歳レコードは、2020年6月20日にモンファボリが記録した1:08.7。スタートを決め軽快に逃げたモンファボリは、スピードを緩めることなく後続を突き放し逃げ切って1着でゴール。開幕週の良馬場ということもあり高速決着となりました。
3歳以上のレコードは、2017年6月18日に函館スプリントステークスでジューヌエコールが記録した1:06.8。レース当日は開幕週ということもあり、他レースでも水準より早い決着となっていました。人気馬2頭が激しいハナ争いを繰り広げたことで前半からペースが早くなり、5番手でレースを進めたジューヌエコールが50キロの軽斤量を生かし、直線で先団を抜き去り1着でゴール。レコード決着となりました。
平均勝ちタイムとラップタイム
函館競馬場芝1200mにおける、平均勝ちタイムとラップタイムは以下のとおりです。
クラス | 平均勝ちタイム | 前3F | 後3F | 後/前 |
---|---|---|---|---|
新馬 | 1:10.3 | 34.8 | 35.6 | 102 |
未勝利 | 1:10.0 | 34.2 | 35.8 | 105 |
1勝 | 1:09.4 | 34.0 | 35.3 | 104 |
2勝 | 1:09.1 | 33.7 | 35.3 | 105 |
3勝 | 1:08.6 | 33.7 | 34.9 | 104 |
OP・重賞 | 1:07.9 | 33.5 | 34.3 | 102 |
馬場状態により0.5〜1.0秒ほど誤差はありますが、平均タイムを超える勝ち時計を出した馬は、クラスがあがっても期待ができます。
スプリント戦ということもあり前半から早くなりますが、スタートから4コーナー手前まで上り勾配が続いていることから後半は消耗戦になるようで、実際に下り勾配にもかかわらず時計がかかっています。とはいえ直線は短いので末脚勝負での好走は難しく、スタートからダッシュをつけて位置を取ることができてゴールまでしぶとく粘れるタフさを持った馬が好走するコースです。
函館競馬場芝1200mで行われる重賞レース一覧
函館競馬場芝1200m行われる重賞レースは以下のとおりです。
レース名(グレード) | 1着賞金 | 開催時期 |
---|---|---|
函館2歳ステークス(G3) | 3100万円 | 7月3週目 |
函館スプリントステークス(G3) | 4100万円 | 6月2週目 |
『函館2歳ステークス(G3)』は2歳世代最初の重賞レース。まだ実戦経験の少ない若駒たちのレースということで波乱の決着となりやすいのが特徴で、実際に2020年には同コースの新馬戦でレコード勝ちを収め、単勝オッズ1.5倍と圧倒的な支持を集めたモンファボリが13着と破れています。
『函館スプリントステークス(G3)』はサマースプリントシリーズの第1戦。開幕週に行われるということもあり、近年は逃げ・先行馬の好走が目立ちます。
函館競馬場芝1200mの傾向データ
ここからは函館競馬場芝1200mにおける過去5年間(2018年1月1日〜2022年12月31日)213レースの傾向データを紹介します。さまざまな角度からこちらのコースの特徴を分析していくので、馬券予想の参考にしてください。
人気別
人気 | 勝率 | 連対 | 複勝 | 単回 | 複回 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 31.5 | 48.4 | 62.0 | 77 | 80 |
2 | 20.2 | 42.3 | 55.9 | 89 | 88 |
3 | 13.1 | 31.0 | 46.5 | 79 | 86 |
4 | 8.9 | 15.5 | 30.0 | 70 | 65 |
5 | 10.8 | 18.3 | 26.8 | 125 | 73 |
6 | 5.2 | 12.2 | 16.9 | 86 | 59 |
7 | 3.3 | 9.0 | 15.2 | 57 | 69 |
8 | 2.5 | 6.4 | 12.3 | 52 | 72 |
9 | 2.1 | 5.7 | 10.3 | 76 | 67 |
10~ | 0.7 | 2.9 | 6.3 | 45 | 81 |
1番人気は好走率が水準を下回っており、絶対的な信頼はおけません。その分2・3番人気が水準を超える優秀な成績をあげています。一方、10番人気以下はほとんど馬券になっていないため軽視でよさそうです。
枠順別
枠順 | 勝率 | 連対 | 複勝 | 単回 | 複回 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 7.8 | 15.9 | 23.7 | 68 | 91 |
2 | 6.1 | 15.9 | 24.9 | 42 | 84 |
3 | 8.7 | 16.7 | 25.4 | 65 | 74 |
4 | 8.8 | 16.4 | 24.3 | 71 | 84 |
5 | 7.3 | 12.6 | 20.5 | 88 | 78 |
6 | 8.0 | 16.8 | 22.9 | 69 | 71 |
7 | 8.3 | 17.4 | 24.4 | 69 | 78 |
8 | 6.3 | 11.4 | 18.9 | 68 | 54 |
8枠の好走率の低さが目立ちます。平均人気は他の枠と変わらないことから馬質が低いとは考えにくく、割引が必要です。
脚質別
脚質 | 勝率 | 連対 | 複勝 | 単回 | 複回 |
---|---|---|---|---|---|
逃げ | 23.0 | 33.3 | 40.4 | 150 | 118 |
先行 | 14.3 | 27.4 | 37.6 | 111 | 103 |
差し | 4.3 | 11.1 | 20.4 | 45 | 77 |
追込 | 1.6 | 4.7 | 8.3 | 36 | 40 |
逃げ・先行馬の成績が非常に優秀です。特に逃げ馬は好走率・回収値ともに素晴らしく、馬券の中心として考えるべきでしょう。反対に追い込み馬は厳しい結果になっています。直線が短いことが一番の要因だと考えられ、こちらのコースでの好走は難しいようです。
種牡馬別
種牡馬 | 勝率 | 連対 | 複勝 | 単回 | 複回 |
---|---|---|---|---|---|
ロードカナロア | 12.2 | 25.6 | 33.5 | 56 | 72 |
ダイワメジャー | 10.2 | 18.8 | 28.1 | 51 | 63 |
ジョーカプチーノ | 29.6 | 40.7 | 44.4 | 164 | 76 |
キンシャサノキセキ | 6.3 | 18.0 | 26.1 | 44 | 80 |
モーリス | 15.0 | 22.5 | 27.5 | 226 | 128 |
マツリダゴッホ | 5.6 | 13.3 | 22.2 | 80 | 79 |
ディープブリランテ | 8.5 | 19.1 | 34.0 | 42 | 115 |
アドマイヤムーン | 5.7 | 7.5 | 17.0 | 37 | 53 |
エピファネイア | 8.2 | 14.3 | 26.5 | 55 | 90 |
ディープインパクト | 4.7 | 9.3 | 14.0 | 29 | 26 |
ジョーカプチーノ産駒はこちらコースを得意としているようで、優秀な成績を残しています。出走していたら必ずチェックするようにしましょう。一方、ディープインパクト産駒は他コースと比較して成績の悪さが目立ちます。
父系統別
父系統 | 勝率 | 連対 | 複勝 | 単回 | 複回 |
---|---|---|---|---|---|
サンデーサイレンス系 | 7.4 | 15.5 | 23.5 | 63 | 76 |
ミスタープロスペクター系 | 8.1 | 14.6 | 22.1 | 83 | 72 |
ノーザンダンサー系 | 8.6 | 16.9 | 25.1 | 49 | 88 |
ナスルーラ系 | 7.5 | 14.2 | 20.0 | 46 | 63 |
その他エクリプス系 | 0.0 | 4.7 | 7.0 | 0 | 34 |
日本競馬の主流血統であるサンデーサイレンス系・ミスタープロスペクター系は、こちらのコースにおいても中心となるようです。
100%洋芝で力を要するコースだけに、パワー型の産駒が多いノーザンダンサー系も水準以上の成績を残しています。
騎手別
騎手名 | 勝率 | 連対 | 複勝 | 単回 | 複回 |
---|---|---|---|---|---|
池添謙一 | 17.5 | 29.2 | 35.0 | 95 | 60 |
武豊 | 22.2 | 41.7 | 55.6 | 119 | 108 |
藤岡佑介 | 15.0 | 30.0 | 40.0 | 59 | 81 |
横山武史 | 11.6 | 20.7 | 35.5 | 138 | 86 |
吉田隼人 | 11.4 | 21.0 | 27.6 | 102 | 72 |
岩田康誠 | 11.0 | 20.0 | 26.0 | 68 | 56 |
C.ルメール | 15.9 | 44.4 | 57.1 | 45 | 87 |
大野拓弥 | 15.5 | 22.4 | 37.9 | 130 | 148 |
丹内祐次 | 4.9 | 14.1 | 25.4 | 77 | 99 |
鮫島克駿 | 21.2 | 33.3 | 39.4 | 193 | 125 |
有力馬への騎乗が多い武豊騎手・C.ルメール騎手は、馬のポテンシャルをしっかりと引き出しているようで、抜群の好走率を誇ります。特に武豊騎手に関しては、過剰人気になりやすいにもかかわらず、回収値が高いのは特筆すべき点でしょう。
調教師別
調教師名 | 勝率 | 連対 | 複勝 | 単回 | 複勝 |
---|---|---|---|---|---|
清水久詞 | 22.0 | 39.0 | 53.7 | 332 | 163 |
安田隆行 | 18.2 | 42.4 | 45.5 | 67 | 82 |
中竹和也 | 20.7 | 31.0 | 41.4 | 125 | 90 |
牧浦充徳 | 13.2 | 18.4 | 28.9 | 96 | 81 |
岩戸考樹 | 13.9 | 19.4 | 25.0 | 70 | 137 |
須貝尚介 | 12.9 | 25.8 | 29.0 | 41 | 55 |
加用正 | 14.3 | 17.9 | 32.1 | 271 | 156 |
音無秀孝 | 18.2 | 22.7 | 36.4 | 197 | 80 |
中野栄治 | 11.1 | 13.9 | 19.4 | 255 | 110 |
武幸四郎 | 17.4 | 17.4 | 30.4 | 93 | 107 |
清水久詞調教師の管理馬が素晴らしい成績となっています。回収値も高いので、馬券の中心として考えるべきです。
所属トレセン別
所属 | 勝率 | 連対 | 複勝 | 単回 | 複回 |
---|---|---|---|---|---|
美浦 | 6.5 | 14.0 | 21.0 | 66 | 79 |
栗東 | 8.9 | 16.8 | 25.3 | 71 | 74 |
昨今の競馬界の勢力図どおり、栗東トレセン組が美浦トレセン組よりも好走している傾向にあります。北海道開催は栗東・美浦どちらのトレセンからでも滞在競馬が基本となりますので、特段どちらかが有利になるということはないようです。
函館競馬場芝1200mの傾向・データまとめ
ここまで8つのデータを使って、函館競馬場芝1200mの傾向を紹介してきました。特に重要なポイントは以下のとおりです。
- 2・3番人気が水準を超える成績
- 逃げ・先行馬が圧倒的に有利
- 8枠は割引が必要
- ディープインパクト産駒の成績が悪い
- 武豊騎手は安定感抜群
- 清水久詞調教師の管理馬が良績をあげている
函館競馬場芝1200mの攻略方法
ここからは函館競馬場芝1200mの傾向データを深掘りし、買うべき馬・消すべき馬を紹介していきます。馬券を検討する際の参考にしてください。
データから見るここが買い
- 逃げ・先行馬が馬券の中心
- 武豊騎手の騎乗馬は要チェック
逃げ・先行馬が馬券の中心
脚質データから逃げ・先行馬が非常に優秀な成績を残しており、馬券の中心として考えるのがセオリーです。その要因は、最後の直線が約262mと JRA全10場で最も短いことと、4コーナー途中からゴールまでが下り勾配になっていることでしょう。スタートが上手く、前につけられる馬を見つけられるかが馬券的中のカギとなります。
武豊騎手の騎乗馬は要チェック
騎手データから武豊騎手の騎乗する馬が、高い確率で好走していることが分かりました。好走率が素晴らしいのに加えて、人気になりやすいにもかかわらず回収値が高いことから馬券妙味があります。こちらのコースを熟知しているベテランが手綱をとっている馬は、必ずチェックするようにしましょう。
データから見るここが割引
- ディープインパクト産駒は割引
- 追い込み馬には厳しいコース設定
ディープインパクト産駒は割引
2012年〜2022年まで10年連続で種牡馬リーディングを獲得しているディープインパクトですが、こちらのコースに限ってはあまり好走できていないので割引が必要です。スピードに長けた産駒が多く、パワーを要する洋芝は同産駒の適性とは異なります。ディープインパクト産駒は常に支持を集める傾向にあるので、人気に左右されずこちらのコースが苦手ということを頭に入れて取捨を検討しましょう。
追い込み馬には厳しいコース設定
脚質データから追い込み馬がこちらのコースで好走するのは難しいようです。前述のとおり、最後の直線が短いことに加えて下り勾配になっていることから、逃げ・先行馬が止まらないことが大きな要因でしょう。東京・中京・新潟競馬場といった直線の長いコースで良績があったとしても、それが直線で末脚を生かしての好走ならこちらのコースでは疑ってかかるべきです。
データの裏を狙う
枠順の傾向データから、8枠の成績が1~7枠と比べ悪いと紹介しましたが、武豊騎手に関しては8枠に入ったとしても【3.1.2.6】と安定して好走できており、回収値も変わらず優秀なので割引の必要はありません。
武豊騎手の8枠成績
武豊 | 勝率 | 連対 | 複勝 | 単回 | 複回 |
---|---|---|---|---|---|
8枠 | 25.0 | 33.3 | 50.0 | 291 | 120 |
開催時期や馬場状態によって狙える穴馬・危険な人気馬
ここからは函館競馬場芝1200mにおいて、開催時期や馬場状態でどのように傾向が変わるのか、それによってどんな馬を狙うべきでどんな馬を消すべきなのかを詳しく解説します。
稍重・重・不良馬場の1枠は割引
雨が降り馬場状態が稍重・重・不良になると、1枠の成績が悪くなる傾向にあります。
馬場状態別1枠の成績
馬場状態 | 勝率 | 連対 | 複勝 | 単回 | 複回 |
---|---|---|---|---|---|
全体 | 7.8 | 15.9 | 23.7 | 68 | 91 |
稍重・重不良 | 7.8 | 10.4 | 15.6 | 54 | 87 |
競馬は基本的に距離ロスを抑えるため内側を走ります。その分、馬場は内側から荒れてきますが、雨が降ることでその影響がより顕著に出るのかもしれません。雨天時の1枠は人気馬でも疑うくらいがよさそうです。
Bコース替わりで1番人気の信頼度が大きく変わる
函館競馬場芝コースは、開催前半はAコースを使用し開催が進むとBコースに変わりますが、Aコース使用時とBコース使用時で1番人気の信頼度が大きく変わることが分かりました。
コース別1番人気の成績
1番人気 | 勝率 | 連対 | 複勝 | 単回 | 複回 |
---|---|---|---|---|---|
Aコース | 34.9 | 53.0 | 69.1 | 87 | 91 |
Bコース | 23.4 | 37.5 | 45.3 | 53 | 54 |
Bコースを使用するようになったら、1番人気だからと言って信用しすぎないよう注意してください。
函館競馬場芝1200mまとめ
今回は、函館競馬場芝1200mについて特徴を解説し、8つの傾向データから好走馬を見つけるヒントを探りました。
- 2・3番人気が水準を超える成績
- 8枠は割引が必要
- 逃げ・先行馬が馬券の中心
- 追い込み馬には厳しいコース設定
- ディープインパクト産駒の成績が悪い
- 武豊騎手は安定感抜群
- 清水久詞調教師の管理馬が良績をあげている
- 稍重・重・不良馬場の1枠は割引
- Bコースに変わると1番人気の信頼度が落ちる
この記事を、馬券検討の参考にしていただければ幸いです!
コメント